永年、コンサルタントをしていると、
こんな場面に出くわす事も多いです。
お客様:
私の会社では●●を◎◎万円で提供しています。
高橋洋之:
え!!? なぜその価格にしたんですか?(相場よりも安い)
お客様:
×××で▲▲▲▲だからです。
答えは様々ですが、
安くすれば売れると「思い込んで」いるだけで、
それが経営的にどのような影響を与えているか、
「数字に置き換えて考えていない」場合が多いのです。
残念ですが・・・
値引きや安売りを否定する本はたくさん出ています。
価値や感動を・・と言う話は他の人に譲って(笑)
簡単なシュミレーションで解説します。
・売上の構造分解
売上高=客数×客単価ですから
客数か単価の両方またはいずれかを
アップさせる他ありません。
●客数増のための値引きは慎重に。値段付けは適正か?
試算条件
販売単価@100円 原価70円 粗利益30円 粗利益率30%
注(念のため):粗利益=売上総利益
売上高から製造や仕入れにかかった費用を引いた利益
10,000円の売り上げを上げるために
値引きなしでは
@100円×100個=10,000-7,000=3,000
10%値引き
@90円×112個=10,080-7,840=2,240
値引きなしと同額の粗利益を出すならば
@90円×150個=13,500-10,500=3,000
・10%の値引きで、150%余計に売らなければ粗利益は同じにならない。
・10%の値引きで、112%余計に売らなければ売上高は同じにならない。
*客数アップのための新規開拓はコスト計測をしっかりと。
私は独立する以前は営業職を15年やってきました。
経験上、一度下げた価格を元に戻すのは困難でした。
皆さんも経験している事と思います。
過去にコンサルティングを行った会社(飲食店)で
半額クーポンで集めたお客様に、
帰りに10%割引券を配っていました。
上記のように、
実際に試算して改善策を提示したのですが、
一向に値引きをやめず、
そのうち電話にも出なくなってしまいました。
さて、その会社はどうなったか皆さんはお分かりですよね・・・?
想像どおりです。
値引きそのもの自体を否定はしません。
値引きは手段であって目的ではなく、その先どうするのか?
値引き自体が目的化、安売り自体が目的化したなら・・
「あえて厳しい言い方をすれば、」
経営努力の放棄、怠慢だと私は感じます。
値引き、安売りは麻薬なので気をつけたいものです。